twilight sinfonia
そのまま、なんだかんだ全員着替えて、迎えにきてくれたなすちゃんの車に荷物を詰め込んでいつもの感じで車に乗る。


走り出した車の中、琉星はシフトをスマホに打ち込んでいて、快斗と深優は後ろでうとうとしつつも寝ないように頑張っている。
俺の隣で瑠南はぼーっと外を眺めているだけで、明らかになっているスマホも気にしない。


「瑠南」
「ん〜?」
「ボタン、もう一個締めたほうがいいんじゃね」
「……あぁ、ほんとだ。つけたつもりだった」


眠たげにそう呟くとボタンを閉めて、あっと思い出したように鞄の中から小さながま口を取り出した。
ファンの子からもらった、ピアスケース。
ピアスをジャラジャラと外して、5個、全部入れる作業。
現場について瑠南が1番時間ないからいつも車の中はこんな感じ。


俺はそれを横目に、外の景色に視線を移した。


……ピアス、もうつけてくれてないな。当たり前だけど。だって俺もつけてないし。
交換した、けどな。


俺はゆっくり目を閉じた。
寝ないけど、ただ勝手に、頭が真っ白になった。
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