twilight sinfonia
左手は既にドアノブにかかっているのに、その手を押さえられて、右手は彼に掴まれていてどうしようも動けない。


「本当に離して?あの……メイク、しなきゃなんないの、知ってるでしょ?」
「えー。俺は瑠南っちにかまってほしい」


いや、今じゃなくていいでしょ?
普通に電話かけてくるじゃん。
久しくとった覚えはないけれども。
私は今、玲兎のことを構ってる心の余裕はない。


なんなら今じゃなくてもかまいたくない気持ちだってある。


「あの、ほんとに離して?」
「やーだ」
「玲兎も準備しなきゃでしょ?」
「俺メイクさんにメイクしてもらうだけだもーん」


……め、めんどくさい。
流石にこのタイミングで怪我させるような追い返し方しちゃダメだろうし……あぁどうしよう。


「瑠南、そんなとこで何してんの?」
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