twilight sinfonia
ふと、後ろから飛んでくる声。
声の主が分かっていても、そっちに目を向けてしまうのが、人間の心理で。


「あ……瀬那」


乙女の心理。


廊下の向こうからあくびしながら歩いてくる既に衣装着用済みの瀬那。
あくびしててもかっこいい……じゃなくて。


「早くメイクしねーと間に合わないけど。ほらいくぞ」


瀬那は私の左手を払い除けて、ドアノブをひねってドアを開けると私を問答無用で引きずりこんだ。
気づいたら玲兎の手は離れていて、扉が締まった音と同時に振り返る瀬那。
不満そうな顔。


「危機管理能力」
「……ごめんなさい」
「ほんっと、変な男に好かれるの好きな」
「なっ……」


呆れたようにそう言い放つと、準備を始める。
……好かれたくて好かれてるわけじゃないって、ばーか。
ていうかそんなに不機嫌になるんなら、私のことつなぎとめてくれてたらいいじゃん。
そしたらまた玲兎の手も引っ込むかもしれないのに。
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