twilight sinfonia
「そうじゃなくても、網に近づいたらメガネ曇っちゃわない?」
「……くもるね」


おとなしく手を引く瑠南。
なんだかんだ、人に甘えるのも上手。


ピリピリと、横から感じる圧力。抑圧。
魔王、瀬那の必殺奥義、やきもち。


俺が瑠南と喋ってるの見るとめちゃくちゃ気にしてる。
まぁ、ね。
付き合ってた頃に宣戦布告しちゃったしね。


『俺、わりと本気だよ』


今では、なんであんなこと言ったんだろうって思うくらい後悔してる。
だって俺じゃ、瑠南のこと笑顔になんてできっこ無いって、わかっちゃったから。
それに、やっぱり。付き合ってる子じゃないと、面白くないなって思っちゃうんだよね。
性格悪い。


瀬那と別れてからの瑠南は、なんていうか、空元気っていうか。笑顔が少なくなった。明らかに。


別れたんならチャンスじゃんって、思うかもだけど。
違うんだよなー、別れちゃうと。


別れても、2人ともお互いのことしか考えてないし、むしろ意識しちゃって他のところに意識がいっていない。
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