熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
「い、いえ……っ。私はその……八雲さんのお嫁さんというより、ただの嫁候補に過ぎないというか! そ、その……」
段々と語尾が小さくなる。
誰が見ても自分よりも八雲に似合いの女性を前に、「はい! 自分が彼の嫁候補です!」などと胸を張れるほど、花の心臓に毛は生えていなかった。
「あら……そうなのですね。でも、あの八雲さんがお嫁様の候補にするお方ですもの。あなたはきっと、他の誰より光り輝く何かを持っている、素敵な女性に違いないです」
けれど傘姫は、そんな花に対して迷いのない声で進言すると、蕾が開くように微笑んだ。
「それに、あなたはとても可愛らしい人よ。きっと、八雲さんもそう思っているはずです」
思いもよらない傘姫の言葉に、花はまたカッと顔を赤くした。
「ま、まさか! 八雲さんが、そんなふうに思ってくれているはずないです……!」
鬱陶しいとかウザイとか、面倒くさいなどとは思われているだろうが、可愛らしいなど天に誓って思われていないと言い切れる。