熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
(きっと、私が相手じゃ、他の人からは絶対にあんなふうには見えない……)
まさか、ここでこんなにも惨めな気持ちになるとは夢にも思っていなかった。
何より今、こんなふうに惨めな気持ちになっている自分にも、花は戸惑いを隠せない。
どうして自分は、傘姫に対して劣等感のようなものを抱いているのだろう。
そもそも花は別に八雲に想いを寄せているわけでもないのだから、似合いのふたりを見て落ち込む理由はないはずだった。
「……もしかして、あなたは八雲さんのお嫁様になるお方?」
「え……」
と、気落ちしている花に、傘姫がそっと声をかけた。
弾かれたように顔を上げた花はすぐに質問の内容を理解すると、思わずカッと顔を赤くして、慌てて首を横に振った。