熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
「そ、そうだったんですね……。すみません、私、すっかり勘違いして……」
また顔を赤くした花は、俯いたまま身の置きどころがなくなったように肩を狭めて謝った。
「おふたりがあまりにお似合いだったので、なんだか勝手に自己嫌悪して、傘姫様に余計なことを言ってしまって……」
「申し訳ありませんでした」と再度頭を下げた花は、ようやくそこで自分の失態に気がついた。
よくよく考えれば、自己嫌悪して落ち込む必要すらなかった。
花は本当に八雲の嫁候補というわけではない。
それなのに今の言い方ではまるで、花が八雲と傘姫の仲を疑っていたみたいに聞こえて当然だろう。
花を八雲の嫁候補だと信じている傘姫からすれば、花は自分にヤキモチを妬いているのだと思っただろうし、自分のせいで花に嫌な思いをさせてしまったと考えたに違いない。
「ほ、本当に申し訳ありませんでした……!」
「ふふっ、ごめんなさい。私が初めにきちんとご説明をしておけば、あなたを不安にさせることもなかったですね」
やっぱり……と、花は穴があったら入りたい気持ちになったが、まさかここで「自分は本当は八雲の嫁候補ではない」と打ち明けるわけにもいかないので、口を噤むことしかできなかった。