熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
「あら、そんなことは……」
「それよりも、傘姫様みたいに綺麗で素敵な方から想われるお相手様のほうが気になります」
「え……?」
「もしも私がお相手の殿方だったら、傘姫様のような方に想われて、最高に嬉しくて天にも登るような気持ちになると思いますし、きっと自分は世界一の幸せ者だと思うと思います!」
まくし立てるように言った花は、傘姫を前に満面の笑みを浮かべた。
言葉にしたことは本心で、一欠片の嘘もない。
実際、傘姫は花の誤解を解こうと必死になるほど心の優しい付喪神様だ。
天女様のように美しい見た目をしながら性格もいいとなったら、向かうところ敵なしだろう。
「傘姫様に思われている殿方は、幸せですね」
しかし、そう言った花を前に傘姫は一瞬だけ困ったように眉尻を下げてから、ふわりと曖昧な笑みを浮かべた。
「ありがとう……。そうだと良いのだけれど」
不思議に思った花は、思わず首を傾げてしまった。
そんな花を前に、傘姫は一瞬口篭ってから、とても静かに言葉を続ける。