熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
 

「……やはり、少し赤くなっているな」


 運ばれていたのは沸かしたての湯だった。

 八雲の言うとおり、右足の小指と薬指がほんの少しだけ赤く色づいているが、それよりも花の顔のほうが真っ赤だ。


「少し、我慢しろ」


 八雲はそう言うと立ち上がり、近くに置いてあった手桶を手に取り水を張った。

 そして再度花の足元に跪いて手桶を置くと、花の右足を掴んで冷水に浸した。


「冷えると思うが、このまましばらく冷やしていろ」


 まるで壊れ物を扱うような八雲の手つきに、花は胸の鼓動が高鳴るのを感じずにはいられなかった。

 
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