熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
 

「急に呼び出しちゃって、すみません! でも、どうしても今すぐみんなに聞いてほしいことがあって!」


 はやる気持ちを押し込めながら、花は、すぅと一度だけ息を吸うと手に持っていた携帯電話の画面を三人に向けた。


「薙光さん率いる御一行様へのおもてなしについてなんですけど、デザートバイキングなんてどうでしょうか⁉」

「デザートバイキング?」


 三人の声が揃った。

 花の言葉にキョトンと目を丸くする様も揃っていて、三人とも携帯電話の画面を覗き込んだ。


「薙光さん率いる御一行様に、こんなふうにデザートバイキングを楽しんでいただくんです!」


 対して花は興奮気味に話を続ける。


「ほら、黒桜さん言ったでしょう? 薙光さんたちは宴会好きだって!」

「はぁ……。確かに、宴会好きとは言いましたが……」

「宴会が好きということは、賑やかな空間が好きってことに違いないですし、その点デザートバイキングは宴会とはまた違った賑やかな空気と、華やかさを演出できると思うんです!」


 早口で言った花は、携帯電話を持つ手に力を込めた。

 そうして心を落ち着かせるように深呼吸をすると、まつ毛を伏せて足元へと視線を落とす。

 
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