熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
 

「そ、それじゃあ私は早速、ちょう助くんと一緒にデザートバイキングでお出しする新メニューを考えますね!」


 早口でそれだけを言って踵を返すと、花は部屋を出ようと扉へ向かって歩き出す。


「失礼しまし──」

「──なぁ」


 けれど、そんな花を八雲の凜とした声が引き止めた。 


(え……?)


 反射的に花が足を止めて振り返れば、床に後ろ手をついて身体半分をこちらに向けた八雲の、力のある目と目が合う。


「俺からも、ひとつ質問をしていいか」

「質問、ですか……?」

「ああ。お前はここを──つくもを、どう思う?」


 突然の、思いがけない八雲の問いに、花は時を忘れたようにして固まった。

 
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