熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
「"日本一の御一行様"に相応しい、"日本一のだいだい"を使ったデザートバイキング。それこそが、今回デザートバイキングをご提供する上でのテーマのひとつでもありました」
「日本一の……?」
「はい。先程、八雲も申しました通り、デザートバイキングはつくもで初めてお客様にご提供する特別なサービスになります」
ここへきて、先程八雲が打ってくれた布石が効いた。
自然と笑みが零れた花は、ひと呼吸置いたあとで畳み掛けるように言葉を続けた。
「私達がご提供するデザートバイキングは、薙光様率いる御一行様にこそ、ふさわしいおもてなしだと信じております。デザートバイキングは甘いものだけでなく、軽食もご用意させていただいているのを、薙光様はご存じですか?」
言いながら花は、ここ数日で試食した、ちょう助が作った数々の料理を思い浮かべた。
どれも最高の味と見た目の、極上の一品ばかりだった。
「現世では、疲れたときにこそ甘いものを…と言われます。なので今日は、日頃、素晴らしいお勤めをされている皆様の疲れを、ほんの少しでも癒せるようなお料理を楽しく召し上がっていただきたいというのが、私達つくも一同の願いなのです」
そこまで言った花は、改めて丁寧に頭を下げた。
そしてゆっくりと顔を上げると薙光を見て、これまでで一番堂々としていながらも、とても綺麗な笑みを浮かべてみせた。
花は見事に、役割を果たした。
花を見つめる八雲の表情は誇らしげで、薙光は再び虚をつかれた表情をして固まっていた。