悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 前世では、ケルスティンが亡くなった直後に、ヴィルヘルムが皇太子となった。そして、彼にはシャンテール大公家の令嬢が、皇太子妃として嫁いだのである。
 けれど、今回はまだ誰も皇太子に任命されていない。皇帝は、どの皇子を皇太子とするか明確な言葉にはしていない。皇妃の息子であるアンドレアスを推す声も大きいのだが、ヴィルヘルムを買っている家臣も多い。

(ヴィルヘルム様も、変わったものね)

 前世では、ただの優しい青年だったヴィルヘルムは、今では皇帝の右腕と言っても過言ではない活躍ぶりなのだそうだ。
 彼に触発されたのか、アンドレアスも熱心に政務に取り組んでいるという。
 前世では、華やかな女性達の間をひらひらと飛び回る方に忙しく、政務にはほとんど興味を示さなかったのに。
 けれど、領地にいて入ってくる情報は、ヴィルヘルムとルイーザの手紙、それから父の手紙に、各地から入ってくる噂話といったところ。レオンティーナ自身の目で確認したものではない。

(そうね、そろそろ私も覚悟を決めないといけないのかも)

 レオンティーナ自身の立場も、大きく変化している。
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