悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 レオンティーナの前で頭を垂れた男性は、女性の使用人を呼び寄せた。レオンティーナの目に見えないところにいたようだ。
 ふたりに付き添われ、レオンティーナは再び歩き始めた。
 大公家の部屋は、招待客の集まる広間からは、少し距離のあるところにあった。皇宮内でも奥まった位置にあり、喧騒が届かないように工夫されている。

「付き添いをお願いして悪かったわね。もう戻ってもいいわ」

 レオンティーナがそう言い、一礼したふたりがレオンティーナの前を立ち去ろうとする。
 ――その時、鋭い声が響いた。

「ティーナ、頭を下げろ!」

 何も考えず、レオンティーナは、命じられるままに頭を下げた。カンッ、と音がしたかと思ったら、レオンティーナの前に、立ちふさがった人物がいる。

「悪い、ティーナ。そのあたりに隠れていてくれないか」
「ヴィルヘルム様――?」

 何があったと言うのだろう。レオンティーナが問いかけようとしたその時。

「そこっ!」

 鋭い声と共に、ヴィルヘルムは何かを投げつけた。彫像の陰から、黒い影が飛び出してくる。

「な、な――」
「だから、いっただろ。君は、ここにいてくれ」

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