となりの一条三兄弟!
霧島くんは壁に押し付けるように移動して、晶くんの体が宙に浮きそうなぐらいに、上へと突き上げている。
「お前ごときが気安く俺の背後に立つなよ」
霧島くんが言い放ったあと、その瞳が怪しく光る。気づけば晶くんは気を失うようにぐったりとしていた。
「……あ、晶くんっ!」
晶くんの体は霧島くんの手によって、床に放り投げられる。私は慌てて駆け寄った。
いくら声をかけても、晶くんからの反応はない。
息はしている。脈もある。だけどいくら揺らしても晶くんは目を開けなかった。
「晶くんになにをしたの?」
キリッと霧島くんを睨みつけた。
「ちょっとした封の術をしただけだ」
「……ふう……の術?」
「俺たちの一族は神を支えるために多少そこら辺のことも身につけているんだ。暗示に近いけれど自力では解くことはできない」
術……なんて現実味がないけど、今はそんなこと言ってる場合じゃない。
「解かなければこいつは眠ったままだ。なにも口にしないで眠り続けたら、いずれどうなるかは分かるだろう?」
「……っ。じゃあ早く解いてよ!」
「お前が俺の元に来るなら、すぐに術は解いてやる」
晶くんがこのまま眠り続けてしまったらと思うとゾッとした。
私はただなにも出来ずに晶くんの後ろに隠れていただけ。……本当に無力で情けない。