エリート御曹司が花嫁にご指名です
 新婚夫婦は近くに住んでおり、休日にはふたりで食事に来ることもある。

 次男の壮二兄さん、私が『壮兄』と呼んでいる彼は、大学生のときは大学に近いマンションでひとり暮らしをし、現在は実家暮らし。

 院長のお父さんは帰宅して晩酌をしているけれど、壮兄はいない。お父さんとお母さんの会話から、壮兄は当直らしい。

「私が後でお夜食を持っていくわ」
「持っていってくれる? 助かるわ。我が家の男たちは、上げ膳据え膳が当たり前だから」

 壮兄は食に無頓着で、ひとり暮らしをしていた頃、三日に一度はお母さんが料理を持っていっていたのを思い出す。

 お母さんが過保護だから……。

 大人なのだから、お腹が空けばコンビニやレストランへ行けるのに、心配でいろいろとやってしまうから、それが当たり前になっているのだ。

 とはいえ、私も壮兄が当直時、帰宅していればお夜食を持っていくのが恒例になってしまっているのは否めない。

「尊のように、壮二も嫁さんを見つけてくれれば、母さんもなんやかんやと世話をしなくて済むだろうに。汐里、恋人の話は聞かないか?」
「全然聞かないわ」

 そっけない返事になってしまったけれど、本当に知らないのだから仕方がない。

< 11 / 268 >

この作品をシェア

pagetop