エリート御曹司が花嫁にご指名です
『汐里からもらいたいわ。必ず連絡してね。あー、本当に結婚式が楽しみだわ。じゃあ、切るわね』
「はい。ハワードさんにもよろしくお伝えください」

 私は明るい声で約束して、電話を切った。


 土曜日の早朝、私と優成さんは羽田空港から沖縄、那覇空港へ飛び、そこから宮古島の宮古空港へ降り立った。

 初めてのふたりだけの旅行に、私は朝からずっと気持ちが落ち着かない。それを隠そうとしているから、言葉が少ない。

 さすがに私の様子がおかしいと思ったのか、一日五組しか受け入れないプライベートヴィラの部屋に入室した途端、険しい顔で優成さんは詰め寄ってきた。

「汐里? 具合でも悪いのか? いつもと様子が違う。それとも、俺との旅行が嫌だったのか?」
「そ、そのふたつの質問の答えはノーです。具合も悪くないですし、旅行が嫌なわけではありません」

 プルプルと頭を左右に振るが、私の顔は引きつっているに違いない。

 両手を頬に当てて、優成さんから視線を逸らす。

「じゃあ、なぜそんな態度を取る?」

 優成さんは腑に落ちないと、頬に当てた私の手を外して、代わりに自分の手のひらをあてがった。

「は、恥ずかしいからですっ」
「は?」
 
 優成さんはあっけに取られて、言葉を失った。

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