エリート御曹司が花嫁にご指名です
 ドアがバタンと音をたてて閉まると、私は大きく息を吐いた。

 あれ以上話をしていたら、私の精神が持たなかったかもしれない。
 
 桜宮専務は納得してくれていない。秘書なんてたくさんいるし、私でなければ、ということでもないのに……。

「週明けに話そうって……」

 土日に桜宮専務の納得がいく理由を考えなければならなくなって、頭が痛い。


 日曜日は珠理奈から頼まれた、二ツ木乗馬クラブのホームページリニューアルのモデルの撮影があり、私は朝早く愛車で向かった。
 
 乗馬はお手の物だけど、鞍の上で表情を作るのは慣れていないせいか難しい。
 
 乗馬ヘルメットからブーツまで、正式な乗馬服を私は身につけている。

 黒のジャケットにスリムな白のズボンで、それらは真新しく、この日のために珠理奈が用意したとのことだ。
 
 この他にジャケットを脱いだ姿や、ズボンを変えての撮影もある。

「汐里、綺麗よー」

 カメラマンが無数にシャッターを押す中、私を見守っている珠理奈が大きな声を上げる。

「ちょ、そんなこと言わないで。照れるでしょ!」

 乗馬クラブメンバーが馬場の隅のほうで撮影を見学しているのもあって、恥ずかしい。

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