俺と、甘いキスを。

「そうし……」
呼び慣れない名前を、ぎこちなく囁く。
彼も「はな」と呼んで、答えてくれる。
耳元で、彼は大きく長い息を吐く。
「やっと、花を抱けた。嬉しすぎて、おかしくなりそうだ」
頬を流れる汗を光らせて、右京蒼士は優しい笑みを浮かべる。私を抱きしめたまま、愛でるようにキスをくれる。


「不倫」という禁断の名の底まで堕ちていった私たちは、それが偽りに思えるくらい、お互いが痺れて溶けてしまうくらい体を重ねた。

「花、お前だけだ」
「蒼士、大好き」

本能のままに。
愛するままに。




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