俺と、甘いキスを。


『さっきはごめんなさいね。連絡待っていたわ。私もちょうど仕事を一つ終えたところなのよ』

三条美月の番号に連絡すると、すぐに通話が繋がった。
「川畑花です。先程は大変ご迷惑……」
『ああ、それはもういいの。私は蒼士の依頼を引き受けた、ちゃんとしたビジネスだから気にしないで。それよりあなたたちが上手くいって本当によかったわ。そうでないと、私がわざわざミラノまで行った意味がなくなっちゃうもの』
ハキハキとした口調で次々に聞こえてくる言葉に、私はただ「いろいろとありがとうございました」と、見えない相手に感謝を伝えた。

『お礼は私が全部話し終わってからにしてね。別に蒼士に口止めされていたわけじゃないけど、今日のあなたたちを見て知っておいた方がいいと、私が判断したの。お互いのことをどれだけ知っているか知らないけど、今から私が話すことも決して忘れないで。約束よ?』
彼女はそう前置きをして、話し始めた。
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