【女の事件】豚小屋

第7話

恐ろしい悲劇は、10月6日の午後2時過ぎに発生した事件で再び始まった。

場所は、直家りつよ父娘の一家がかつて暮らしていた家にて…

事件が発生した家は、直家とりつよの一家が枇杷島へ引っ越してからは空き家になっていた。

敷地内は荒れ放題で、家は倒壊する恐れがあった。

事件は、空き家の中で発生した。

村内の公立中学校の男子生徒10人が、学校を抜け出して空き家で悪さをしていた。

その時に、スズメバチの大群に襲われて、10人全員が負傷した。

事件現場の空き家の敷地に、飯田市の広域消防本部の救助工作車2台と救急車と村内の便利屋さんの車が停車していたので、現場はキンパクした空気に包まれていた。

問題のスズメバチの巣は、土蔵の中にあった。

土蔵の中に入る前に、作業員たちがスズメバチを退治する薬剤を入念に散布していた。

散布が終了した後、スズメバチの巣を駆除した。

その直後であった。

作業員のひとりが、土蔵の奥の方でくさりで縛り付けられて天井から吊り下げられている男性がいると叫んだ。

夕方5時過ぎのことであった。

事件現場の空き家の敷地に、長野県警のパトカー8台が到着した。

到着後、警察官による現場検証が行われていた。

丁度その時分に、沼隈が現場を通りかかった。

もしかしたら…

淵埼が土蔵の中に監禁されているのでは…

現場検証開始から70分後のことであった。

付近の住民のみなさまがざわつき出したので、何事かと思って沼隈が近づいた。

そしたら…

「なっ、何なのかしら一体…」
「ウソ!!なんなのよ!!」
「ひどくにおっているわ!!」
「どう言うことなの!?」
「こわい…」

この時、ボロボロに傷ついて腐乱状態になっていた淵埼が土蔵の奥から運び出されたので、住民の間で激しい動揺が走った。

どういうわけなのかしら…

もしかしたら…

土蔵の中で恐ろしい事件が発生したのかしら…

こわい…

淵埼が腐乱状態で発見された現場を目の当たりにした沼隈は『もしかしたら、例の父娘が土蔵の中で淵埼を殺したかも知れない!!』と思い込んで怒りに震えていた。

村を出た沼隈は、一目散にJR飯田駅へ向かった。

飯田駅から塩尻方面へ向かう列車に乗って、塩尻駅から中央本線の電車を乗り継いで名古屋へ向かった。

名古屋へ向かう電車の中で、沼隈はつぶやきながら怒り狂っていた。

りつよが幼稚園の先生をしていたときのことを、オレは知っている…

あの時…

りつよが働いていた幼稚園で…

男の子の園児が先生からギャクタイを受けていた問題があった…

それを、幼稚園ぐるみでインペイ工作していた…

被害を受けた男の子の園児は、淵埼だった…

淵埼ばかりを攻撃していた問題の先生はりつよだった…

父親の直家は、娘のりつよをヨウゴしていた…

あのクソバカ父娘は、名古屋へ逃げたかも知れない…

許さない…

あのクソバカ父娘をしょっぴいて…

事件の真相を徹底的に究明して…

報道機関にリークしてやる…

沼隈は、怒りを強めながら気持ちをふるい立たせていた。

10月7日の午後2時過ぎのことであった。

場所は、有松(名古屋市緑区・東海道の宿場町である)にある忠家の実家のおろし問屋の前にて…

店に入った沼隈は、店の丁椎(でっち)どんに『店の若だんなを出せ!!』と凄んだ。

丁椎どんの男性は『若だんなは城跡公園にいて、お茶屋の芸妓(げいこ)はんたちとイチャイチャしていますが…』と沼隈に伝えた。

沼隈は、忠家がいると思われる大高城跡の公園まで行った。

沼隈は、忠家をとっ捕まえてやると怒り狂っていた。

ところ変わって、大高城跡の公園にて…

沼隈が到着した時であったが、忠家は柳ヶ瀬(岐阜市)のお茶屋の芸妓はんたち9人とお茶屋遊びに夢中になっていた。

忠家は、勝ち誇った表情でお茶屋遊びを楽しんでいる時に、直家とりつよ父娘のことをボロクソに言いまくっていた。

本当は婚約者だった女性と挙式披露宴を挙げて一緒に暮らしたかったのに、直家が待ったをかけてから仕方なくりつよと結婚をした…

なおみとさおりの実父がやくざがらみのトラブルを起こしていたこと…

なおみとさおりの実父の兄たちが愛知県議会議員時代に起こした女がらみのトラブルなど…

忠家は、酒に酔った勢いでボロクソに言いまくっていた。

沼隈は、忠家が酔った勢いで芸妓はんたちに話している様子をテープレコーダーに全部録音した。

録音し終えた沼隈は、ニヤニヤとした表情で立ち去った。

ところ変わって、名古屋大須の裏門町通りにあるオシャレなカフェにて…

時は、夕方5時半過ぎのことであった。

なおみは、先方さんから電話があったので、待ち合わせ場所に指定されているオシャレなカフェに行った。

店の中には、お見合い相手の男性と仲人さん夫婦となおみがいた。

仲人さん夫婦は、紹介のあと店員さんに日替わりケーキセットを注文した。

なおみは、ものすごくイヤそうな表情をしていた。

仲人さんは、ものすごくイヤそうな表情をしているなおみに対してどうしたのかなと聞いた。

「なおみさん…なおみさん…」
「えっ?」
「どうしてイヤそうな表情をするのかな…」
「えっ?」
「どうしてイヤそうな表情をするのかと言うのが聞こえないのか!!」
「あなた!!」
「なんや!!」

奥さまがダンナさまをたしなめた後、なおみに理由を聞いてみた。

「なおみさん…どうしたのかな?」
「あの~…アタシ…まだ…晩ごはんを…食べていないのです…」

なおみが晩ごはんを食べていないことを聞いた奥さまは、なおみに怒りぎみの声で言うた。

「それじゃ、どうして晩ごはんを食べてこなかったの!?」
「おい…やめろよ…(お相手さん)さん…すんまへんでした…どないしまひょか?なおみさんが晩ごはん食べてへんと言うてはるので…ひつまぶしのうまい店に変えまひょか?それとも、味噌煮込みうどんがうまい店にしまひょか?」
「すみませんけど、アタシ…家に帰って晩ごはんを食べます。」
「えっ?家へ帰るって?」
「アタシ…家で晩ごはんを食べたい…」
「それだったらもう家に帰りなさい!!そんなにイヤそうな表情をするのであればお見合いなんかやめなさい!!」

仲人さんの奥さまがなおみをボロクソに怒鳴りつけた。

なおみはますますイヤそうな表情で『アタシ…結婚したくない。』と居直った声で奥さまに言うた。

沼隈は、店から出てきたなおみのあとをつけて行った。

それから90分後のことであった。

なおみは、急ぎ足でJR枇杷島駅から家へ向かっていたので、沼隈もついて行った。

沼隈は、途中でなおみを見失った。

しかし、直家とりつよの一家が枇杷島へ逃げていたという事実を突き止めたので、ニヤニヤとした表情でその場から立ち去った。

直家とりつよ父娘の一家が枇杷島へ逃げ込んでいた…

一体、どうなっているのだ…

沼隈は、その翌日からより過激な行動に踏み切った。
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