【女の事件】豚小屋

第7話

2017年10月2日頃のことであった。

しゅういちと離婚したあいこは、ようすけと一緒に小淵沢の実家を出て、高校時代の友人が暮らしている八王子市に移り住んだ。

あいこは、移住3日目に市内にあるハローワークに契約職員として再就職した。

ようすけは、あいこが仕事中の間は市内にある保育園にいて、お友だちと楽しい時間を過ごしていた。

ようすけの表情が豊かになった。

その一方で、ちづるの父親が経営している工場が経営の危機にひんしていた。

その中で、東京羽村市で暮らしている父親の知人の男性が8000万円の支援金を出して下さったので、深刻な危機は回避できた。

知人の男性は『お金は気持ちだから返さなくてもいいよ…』とは言うた。

しかし、父親は『それでは気が済まない…』と言うて、ちづるを知人の男性の息子さんの義弟の鎮房(しげふさ・35歳・市役所職員)と結婚させると申し出た。

ちづるは、鎮房と結婚するために常滑市を出て東京羽村市小作台にある小さな借家へ移り住んだ。

あいことちづるが常滑市を出て、新しい暮らしをはじめてから4ヶ月が経過した。

新しい土地の暮らしになれて、一段落ついた時であった。

この時、新たなトラブルが起こる危険性が高まっていた。

時は、朝7時半頃のことであった。

ちづると鎮房が暮らしている小さな借家にて…

家の食卓で、朝ごはんを食べ終えて一息ついた時に、鎮房がちづるに父親の工場の経営が軌道に乗ったのかどうかを聞いた。

「ちづる。」
「なあに?」
「義父さまが経営している工場のことだけど、経営は軌道に乗っているかなぁ?」

鎮房は、ひっきりなしにちづるに父親が経営している工場が軌道に乗ったのかどうかを聞くようになった。

ちづるは『またその話なのぉ。』と生ぬるい表情で受け答えをするようになった。

「またその話ィ~」
「どうしたのだよぉ~」
「あなた、毎日毎日同じ事をアタシに聞いているわよぉ…他にお話ないのかしら(ブツブツ…)」
「オレは、義父さまが立ち直って、がんばって工場の経営をしているのかな…と心配になっているのだよぉ…」
「あなたね、父の心配よりもアタシたち夫婦の今後のことを考えてよぉ…あなたのお給料が少ないから不足分を補うために一生懸命になってパートのお仕事で稼いでいるのよ。」
「それがどうかしたのか?」
「あなた、自分のおうちを建てたいと思ったことないの?」
「ない…だって、借家住まいの方が気楽でいいから…」
「あっそう…わかったわ!!」
「ちづる。」

ちづるは、ふてくされた表情でエプロンを取って、バサッと放り捨てた後、赤茶色のバッグを持って家から出て行こうとした。

「おい、どこへ行くのだよ…」
「パート!!」
「パート?」
「9時までにタイムカードを押さないといけないのよ!!」

ちづるは、ふてくされた表情で赤茶色のバッグを持って家から出て行った。

置き去りにされた鎮房は、ぼうぜんとした表情でたたずんでいた。

朝8時半過ぎのことであった。

場所は、東京青梅市のJR河辺駅の近くにあるSEIYUの惣菜の調理場にて…

ちづるは、いつも通りに惣菜の揚げ物を作る仕事をしていた。

ちづるは、1日5時間のパート勤務をして鎮房のお給料だけでまかなえない部分をかせいでいた。

生活がよくなれるようにしたい…

夫婦は、そう思いながらもくもくと働いていた。

ところ変わって、八王子市子安町にあるハローワークにて…

あいこは、契約職員として与えられた仕事をもくもくとこなしていた。

あいこがデスクで仕事をしていた時であった。

求職のカウンターの方で、女性職員と求職者の男性が大ゲンカを起こしていた。

「あなたね!!おじさまが経営している建材店をやめてから3ヶ月の間に求職活動をしていたのに、不採用の山ばかりが続いているのよ…これから先どうして行きたいのかしら?」
「なんや!!求職者にお説教するのか!!」
「アタシだってお説教したくないわよ…記録書には、面接に行った先は全部不採用になっているみたいだから、もう一度考え直してみてはどうなのかと言うただけなのよ!!」
「なんやコラ!!オドレは命令しているのか!?」
「あなたね!!」
「(へらついた声で)ねーちゃんよぉ。」
「なんですか?」
「ねーちゃんよぉ…あんたも人のことが言えた義理じゃねえんだよ!!」
「ですから、何が言いたいのですか!?」
「そういうあんたも、こすいてぇ使って国の職員になったじゃん…」
「あなたね!!」
「ねーちゃんが卒業した大学のセンコウのヨコッツラはりまわさないと(たたかないと)アカンようだなぁ…ねーちゃんよがいた高校はオジョーサマの女子高と聞いたし…言うことがずれてんだよ…お説教するんだったら、自分の力で生きて行けるようになってから言えよ!!(チッ)…ババァ!!」

求職者の男性は、この後口笛をふきながらハローワークから出て行った。

端で見ていたあいこは、ぼうぜんとした表情でなじられた女性職員を見つめていた。

あいこは、いつも通りに仕事を終えた後に保育園へ行って、ようすけを迎えに行った。

そして、マンスリーアパートへ帰った。

その日の深夜11時過ぎに、恐ろしい事件が発生した。

場所は、東京あきる野市養沢にある無人の豚小屋にて…

豚小屋の中に70代後半の男性と25歳くらいのホステスの女が、恐ろしい覆面をかぶった男たち30人に無理やり豚小屋に押し込まれた。

「この通りだ!!命だけは助けてくれ!!」
「ふざけるなよ!!」

男たちは、被っていた覆面を取った後、男性にすごんで行った。

男たちは、ちづるの父親が経営している工場で勤務していた従業員たちであった。

連れ去られた男性は、ちづるの父親であった。

「悪かった!!あやまる…あやまるからこの通り…」
「ふざけるなよ!!」
「あやまったから済むと思とんか!!」
「工場を再建するためのカネが入ったから、まじめに工場を経営するとばかり思っていた!!けど、結局は欲に目がくらんだんや!!」
「オドレふざけるなよ」
「よくも従業員たちをグロウしたな!!」
「こうなれば鉄拳制裁や!!」

(ガツーン!!ガツーン!!ガツーン!!)

怒り狂った男たちは、ちづるの父親を交互に殴り付けていた。

「イヤァァァァァァァァァァァ!!イヤァァァァァァァァァァァ!!」

(ビリビリビリビリビリビリ!!ブチッ!!)

別の場所では、ちづるの父親の浮気相手のホステスの女が男たちに押さえつけられた。

衣服をズタズタに破られて、ブラジャーをちぎられた後、ボロボロに傷つくまで犯された。

騒ぎは、それから数日後に発生した。

この日、ようすけがいる保育園の行事で母子遠足に行く予定であった。

この時、あいことようすけは恐ろしい事件現場を目の当たりにした。
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