【女の事件】豚小屋

第10話

鎮房(しげふさ)が外へのみに行ってた時のことであった。

ところ変わって、JR羽村駅の裏手の通りにあるマージャン店にて…

お見合いの仲人をすっぽかした鎮房の義兄は、大学時代のサークル仲間の男性3人と一緒にかけマージャンに夢中になっていた。

たばこの煙が充満している店内で、4人はたばこを吸い、アルコールを多く摂取して、脂っこい丼ものを食べながら『リーチ』だの『ツモ』だの『ロン』などと言いながらマージャン遊びに夢中になっていた。

時は深夜11時過ぎのことであった。

北の席に座っている男性が大負けをきっしていたので、ものすごく困っていた。

北の席に座っている男性は、持ち合わせがないので鎮房の義兄にお金を貸してくれと言うたので、鎮房の義兄はイヤそうな表情をしていた。

「持ち合わせがないって…どういうわけだよぉ…」
「オレ、悪気があって持ち合わせがないと言うたのじないのだよぅ…お給料が減ったので生活が苦しいのだよぅ…助けてくれよぅ…」
「しょーがねーなー…いくらいるのだ?」
「6万円…6万円貸してくれよぅ。」
「わかったよ…ちゃんと返せよ。」

北の席に座っている男性は、鎮房の義兄から6万円を受け取った後ホクホクとした表情でマージャン店から出て行った。

ところ変わりまして、マージャン店から歩いて400メートルのところにある焼き鳥屋にて…

鎮房の義兄から借金をした男性は、借り入れた6万円を使ってトリカワを肴にホッピーをのんでいた。

男性は、大きくため息をつきながら考え事をしていたので、となりに座っている男性客のホッピーを勝手にてぇつけた。

それが原因で、トラブルになった。

男性のとなりに座っていた男性客は、鎮房だった。

鎮房は、メイテイ状態であったので大ゲンカを起こす危険性をはらんでいた。

「オラオドレ!!オレがのんでいるホッピーにてぇつけたな!!」
「なんだよぅ…のみたいよぅ…」
「のみたいよぅと言うのであれば注文せえや!!」
「注文せえや?」
「ホッピーをもう一本くださいと言えば、のめるのだよ!!」
「のみたいよぅ…たのむ…」

鎮房の義兄から借金をした男性は、鎮房にホッピーのみたいと泣きそうな声で言うて詰めよっていた。

ブチキレを起こした鎮房は、男性を店から引っ張り出して、裏の露地へ連れて行った。

ところ変わって、酒場の露地裏にて…

(ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!)

鎮房は、男性がボロボロに傷つくまで殴り付けていた。

「許してくれ…許してくれ…」

鎮房は、15センチブロックで男性の頭を激しく殴って殺したあと、その場から逃走した。

それから20分後のことであった。

ちづるは、家に帰っていない鎮房を探しに外へ出ていたが、ちづるは酒場の露地裏に迷い込んでしまった。

ここ、どこなのよ…

アタシ…

道に迷ったみたい…

どうしよう…

そんな時であった。

ちづるの足元に血痕(けっこん)がところどころに散らばっていた。

それを見たちづるは、背筋に激しいセンリツを受けた。

もしかしたら…

この近くで乱闘騒ぎが発生したのかもしれないわ…

そして次の瞬間…

「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

ちづるは、強烈な叫び声をあげた。

ちづるの目の前に、義兄の友人の男性が頭から大量に血を流して、口から大量にアワを吹いて、わきばらからハラワタが出た状態で死んでいた。

どういうわけなの…

ねえ…

どういうわけなの…

ちづるは、より強烈な悲鳴をあげていた。

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァ!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァ!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

それから20分後のことであった。

事件現場の露地裏に、警視庁の刑事たち20人と鑑識警察官40人が到着した。

ケーサツが到着した後、現場検証が始まった。

第1発見者のちづるは、刑事たちからアレコレとめんどいことを聞かれた。

事件の翌日の午後1時頃のことであった。

ところ変わって、八王子市横山町にある葬祭会館の前にて…

あいこは、ようすけを連れて付近を散歩していた。

この時、ふたりは葬祭会館の前を通りかかった。

葬祭会館では、ひっそりとした雰囲気の中で家族葬が行われていた。

あいこは、ものすごく気になっていたので中をのぞいてみた。

その時に、ハローワークで働いている女性職員の嶋口(しまぐち)さんがあいこに声をかけた。

「あいこさん。」
「えっ…嶋口さん…」
「あいこさん、そんなところでなにをしているのよ?」
「えっ…ああ…葬祭会館…ひっそりとしていたから…気になって…」

嶋口さんは、ひっそりとした家族葬を行っている家族のことをあいこに話した。

「ひっそりとした家族葬を行っているのね…うちの近所で暮らしているクマシロさん方のご主人よ。」
「クマシロさん…クマシロさんって、嶋口さん方の家のご近所ですか?」
「そうよ。」
「クマシロさんのご主人さまは、どこかお身体の具合がよろしくなかったのかな?」
「クマシロさんのご主人ね、ゆうべ酒場の露地裏で通りかかった男のグループから集団リンチを喰らって殺されたのよ。」
「集団リンチ?」
「そうよ。」

嶋口さんは、冷めた目付きで葬祭会館にいるクマシロさんの家のご家族を数秒間みつめたあと、あいこにこう言うた。

「クマシロさんのご主人ね…昨日は次男さんが婚約者を連れて家にあいさつに来るから家にいなさいと奥さまから言われていたのよ…だけど、ご主人は次男さんの結婚が気に入らないとひねくれていたのよ…職場の会合だとウソをついて、中山競馬場へ行って競馬をしていたのよ…その前の時も、家族にウソをついて多摩川競艇場へ行ってたのよ…悪いことばかりを繰り返していたから、集団リンチを喰らって殺されたのよ…」

嶋口さんは、葬祭会館にいるクマシロさんの家のご家族を冷めた目付きで再び見つめた後、葬祭会館の前から立ち去った。

こすいことしか知らないから天国へ行く資格なんかない…

クマシロさんのご主人は、どういういきさつがあって集団リンチの被害を受けたのかしら…

こわいわ…
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