【女の事件】豚小屋

第12話

その日の夜8時過ぎのことであった。

場所はJR八王子駅の近くの商店街にある居酒屋にて…

嶋口さんから強烈な言葉でなじられた上に足をけられたので、南川はハローワークに対しての怒りがさらに高まっていた。

南川は、キリンラガービールの瓶を5本頼んでイッキ飲みをしてうさを晴らしていた。

しかし、嶋口さんから言われた言葉が心の中でわだかまっていた。

サイアクだ…

オレ、なんのために上京したのか…

分からなくなった…

メイテイ状態になっている南川は、となりに座っている男性客がのんでいるビールにてぇつけたので、大ゲンカになった。

「コラ!!オドレ何してんねん!!」
「なんだよぅ…のみたいよぉ…」
「のみたいのだったら、おかわりを注文せえよ!!」
「おかわりを注文する?」
「おかわりをくださいと言えんのか!?」
「なんやコラ!!ぶっ殺してやる!!」

となりに座っていた男性客が南川に殴りかかって来た。

南川は空のビール瓶で男性客の顔を殴った後、持っていたサバイバルナイフで刺して殺した。

「ギャァァァァァァァァァァァ!!」

店にいたお客さんたちが強烈な悲鳴をあげた。

店から逃走した南川は、無我夢中で八王子市内を逃げ回っていた。

事件発生から20分後のことであった。

事件現場の居酒屋に警視庁の刑事たち20人と鑑識警察官30人が駆けつけて来た。

ケーサツが到着後に、現場検証が始まった。

その頃であった。

あいこは嶋口さんと一緒に京王電車の八王子駅の近くにありますスタイリッシュなカフェテリアにいてお話をしていた。

この日、あいこはようすけをお泊まり保育に預けていた。

嶋口さんは、あいこに何のためにハローワークで仕事をしていたのか分からないとあいこにグチをこぼしていた。

「アタシ…人生の選択を間違えたと思っているの…」
「人生の選択を間違えたって…それどういうわけなのよぉ~」
「アタシは、フツーの学校に行きたかったのよ…それなのに、両親の言いなりになってエスカレーター式の学校へ行ったから失敗したのよ。」
「エスカレーター式の学校に行ったから失敗したって?」
「うん。」

嶋口さんは、のみかけのコーヒーを一口のんでからあいこにこう言うた。

「アタシは大学までエスカレーター式で行って卒業はした…けど、あんまり勉強していなかった。」

嶋口さんは、のみかけのコーヒーを一口のんで大きくため息をついてからあいこに言うた。

「アタシは世間知らずのお嬢さまだから、求職者のみなさまから『オドレがいた大学は合コンの講義しかしていないのだろ!!』とか『学校を遊びの場に使っていたのだろ!!』と言われても反論する余地がないのよ。」
「嶋口さん。」

嶋口さんは、ひと間隔を空けてからあいこにこう言うた。

「アタシ、大学4年の時に一度だけ就職の面接を受けたことがあるのよ…大阪に本社がある農機具メーカーだったわ。」
「面接を受けたことがあったのね。」
「うん。」
「面接の時に、何を聞かれたの?」
「『あなたは、どんな仕事をしたくて御社の採用試験に応募したのですか?』…と聞かれわ。」
「どんな仕事をしたくて応募をしたのかって?」
「うん。」
「それで、どういうふうに答えたの?」
「テキトーに答えたわよ。」
「テキトーに答えた?」
「本当のことを言えば、大学の先生が『面接のアポを取っておいたから…』とアタシに言たのよ…アタシは、言われるがままに面接試験を受けた…面接官がそのように言うたからアタシはテキトーに答えたのよ。」
「そうだったのね。」
「大学3年の時のインターンシップもしなかったわ。」
「どうしてインターンシップをしなかったのよ?」
「その時に単位を落としたからできなかったのよ…結婚して専業主婦になることも考えていたわ…けど、両親は『大学へ行っている間は楽しんでこい…就職のことは考えなくてもいい。』と言うたわ…だからアタシはダメになったのよ。」
「それで、嶋口さんはどうしたのかな?」
「だからアタシは、親類のコネ使って公務員になったのよ。」
「そうだったのね。」

あいこと嶋口さんは、この後も身の上話を続けていた。

さて、その頃であった。

居酒屋で乱闘事件を起こした南川は、八王子市内を逃げ回っていた。

事件発生から120分後に、別の酒場街の露地裏へ逃げ込んだ。

その時に、やくざの男のグループ9人に取り囲まれた。

南川は、ヤクザの男たちに無理やり車に乗せられたあと、遠くへ連れ去られた。

南川に殺された男性客は、やくざ組織の見習いの舎弟の男だった。

大事な舎弟を殺されたので、ヤクザの男たちが南川に対してかたきうちに出た。

南川は、檜原村にある無人の豚小屋へ連れて行かれた。

ところ変わって、豚小屋の中にて…

豚小屋の中にいる豚たちがより強烈な鳴き声をあげていた。

(ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!)

その中で、やくざの男たちは南川を代わる代わるに殴り付けていた。

南川は反撃することができないので、殴られっぱなしになっていた。

それから80分後のことであった。

ボロボロに傷ついた南川は、リーダーの男に胸ぐらをつかまれて『どうオトシマエをつける気なのだ!!』と凄まれた。

「オラオドレ!!どないしてくれるんねん!!ワシらのかわいいシャテイを殺したオトシマエをどうつける気だ!?…立て…立てや!!」
「知らねーよ…」
「知らねーよだと…キサマ!!知らなかったで済むと想っていたら大きな間違いや!!分かっとんかおんどれは!!」
「待ってくれ…オレはあの男から被害を受けたのだぞ…あんたらがあの男とグルになってオレを殺そうとしたのだよ…」

南川の言葉を聞いた子分の男は、持っていたサバイバルナイフを取り出して南川を刺そうとしていた。

「ふざけるなコラ!!」
「やめんかい!!」
「アニキ!!かたきを討たせてくれ!!」
「やめいと言うたらやめい!!早まるな!!」

リーダーの男は、子分の男を止めた後、南川にこう言うた。

「ほな、オドレは100パーセント正しくてワシらは100パーセント悪いと言うわけだな…よぉ分かったわ…ほな、オドレは豚小屋の中にある汚水曹に頭から墜ちて(おちて)死にたいのか!!」
「煮るなり焼くなり喰うなり殺すなりどーでもせえ…オレは行くところがない…行くところがなきゃ帰るところもないのだよ…だから…あんたの組のかわいいシャテイを殺した!!」
「オドレ南川!!」
「やめんか!!」
「アニキ!!南川を汚水曹に頭から墜とす(おとす)しかないねん!!」
「せや!!がまんならん!!」
「かわいいシャテイを殺したからこらえへん!!」
「待たんかい!!」

リーダーの男は、南川にもう一度チャンスを与えてやるからと言うて、条件を突きつけた。

「あんさん…あんさんにもう一度だけチャンスを与えるわ。」
「チャンスだと?」
「せや…あんさんが100パーセント正しいと言うのであれば、ワシらに5000万円を払うことや…」
「カネ…カネはらえと言うのか!?」
「なんだったら汚水曹に頭から墜とそか!?」
「どーでもせえ!!」
「ほな、カネは払えんと言うことやな!!」
「オドレらに払うゼニなんてびた一文もないわ!!」
「アニキ…アカンようだな!!」
「せやな!!」
「どうやら汚水曹に頭から墜ちて死にたいと言うことやな!!」
「そのようだな!!」
「オラ南川!!立てやコラ!!」
「オラ南川!!」

(ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!)

南川は、やくざの子分の男たちから集団リンチを喰らってボロボロに傷ついた。

その後南川は、2日間にわたって豚小屋に監禁された後、ボロボロに傷ついた状態で解放された。

この時、南川はより強い怒りを抱いていたので、きわめて危険な状態であった。
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