~fault~私だけが・・・
「やっぱり男だよ」
「付き合ってる人居るんだよ!絶対に!」
って言い張るから、見たのかよって言ったら「そんなの見てたらボク・・」って急に子犬みたいな顔をしてウルウルしだした。
あ~~~もうマジ面倒くせーな(笑)

「でも、わかんねーじゃんそんなの。本人に確かめないと。」
「わかるよ。わかる」
「なんでだよ」

「ボクは、ずっと渉の事見てきたから・・」

オレは一瞬、言葉に詰まって誤魔化す様に「へーそう言うもんかねー」って言ったらさっきの説教が始まった。
笑いながらオレを見て女と真面目に付き合った方が良いとか刺されてもとか、オレどんなんだ(笑)


「真面目に言ってるんだよ。ボク」

「でもさー、しょうがないじゃん。オレモテるんだもん。向こうから寄ってくるんだもん。そんなの、ほっとけないでしょ?フツー。そんなの!もったいないでしょ?来る者は、拒まず、去る者は追わず。これ常識。」

「その中に一人でも匠の事、真剣に愛してくれてる人居る?」
「ん?そんなのわかんねーよ。愛とかはずかしくね~のオマエ(笑)」
「そんなの良くない!!!!!!ゼッタイ良くないよっ」


「うるせーよ。なんなんだよ。グジュグジュ言ってると思ったら今度は説教かよ。オマエがオレに、説教なんて20年はえーよ!」

すると真剣な顔になった樹が
「匠?自分のキモチ早く見つけないと、大切なもの失くして取り返し付かなくなっちゃうよ?」

「訳わかんねー事言ってんナ」

じゃ、帰ろっかって席を立った樹の背中を見つめながら歩いると樹の声が聞こえて
また言葉を失うオレに笑って家の中に入って行った。

「ボクはね~匠の事もずっと見てきたから、分かるんだよ(笑)」
見透かされてる様でムショーに腹が立つ。
ベッドに身体を投げ出し樹の言葉をかみ締めていた。

オレのキモチ?はぁ?なんだっての?適当な事言ってんなよな!
でもオレ自身でさえよく分からなかったオレのキモチに気付いてるってのかよ樹のヤツ!

渉の恋と樹の恋、平行線のふたりの恋
新のよそ見で一途な恋
央のいまだ見えぬ恋
そしてオレの歪んだ恋たち・・・(笑)






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