~fault~私だけが・・・
「そっか、そんな事になってたのか。」
「ハイ。オレ、もーわかんないっす。渉の気持ちも何が大切なのかも何もかも」
「何もかもかっ。」
「香田さん大切にってなんっすかね?」

そりゃ~って言いながら
「居続ける事だろ、何があってもな。いつも一番近くに居て向き合ってく事だろ。逃げねーでなっ。オレはそう思うよ」

静かに笑う香田さんが本当に優しそうな顔をした。
聖奈は大切にされてるんだって安心した。


「オレが思うに渉ちゃんはもう決めてるんじゃないのか?キモチ」
「キモチ、ですか?」
「そう。まぁーそれが、お前なのか彼なのかわかんねーけど、自分の気持ちは決まってるんじゃないのか」


渉のキモチ、、、


「とにかく、ジタバタするな!渉ちゃんのキモチってよりお前のキモチだろ。きっと今更、はまった恋じゃないんだろ!」
「ハイ。」
「だろっ。そんだけキモチ暖めて、しまい込んできて、キモチ伝えて、何を今更ジタバタしてんだよ。大事ならデンっと構えろよっ。見守ってやれよっ。なっ匠!!」

そう言われてスッキリはしたけどよくわからなくなっていた。
渉の気持ちも自分の気持ちも。

渉はあの日以来オレを避けていて、オレもそんな渉に声すらかけられずにいた。













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