芸能人の幼なじみと、内緒のキスしちゃいました。



「あ、あの悝世?わたしやっぱりスタジオの外で待ってるよ。邪魔だろうし……」



「……は?いや、それじゃここに来た意味ないじゃん」


前にいた悝世が振り返って、むすっとした顔をしていた。



「俺がなんで依茉をここに連れてきたかわかんない?」


「え、えっと……悝世の気分とか?」


「ちがう。依茉に見ててほしいから」


スタジオの中には他にいろんな人がいるっていうのにお構いなし。


わたしの手をギュッと握って。


おまけに顔を近づけてきて……おでこがコツンと軽くぶつかる。



「普段の俺とちがうところ見てて」


「っ、」


ほんとにずるい。
不意打ちにこんなこと言うの。



さっきまで、だるそうでやる気なさそうだったのに、今はフッと軽く笑って。



「……んで、帰ったらたくさん甘やかして」


「ぅ……」

< 45 / 359 >

この作品をシェア

pagetop