芸能人の幼なじみと、内緒のキスしちゃいました。
「あ、あの悝世?わたしやっぱりスタジオの外で待ってるよ。邪魔だろうし……」
「……は?いや、それじゃここに来た意味ないじゃん」
前にいた悝世が振り返って、むすっとした顔をしていた。
「俺がなんで依茉をここに連れてきたかわかんない?」
「え、えっと……悝世の気分とか?」
「ちがう。依茉に見ててほしいから」
スタジオの中には他にいろんな人がいるっていうのにお構いなし。
わたしの手をギュッと握って。
おまけに顔を近づけてきて……おでこがコツンと軽くぶつかる。
「普段の俺とちがうところ見てて」
「っ、」
ほんとにずるい。
不意打ちにこんなこと言うの。
さっきまで、だるそうでやる気なさそうだったのに、今はフッと軽く笑って。
「……んで、帰ったらたくさん甘やかして」
「ぅ……」