シンフォニー ~樹
17

夕方 恭子の家に着くと なぜか健吾と絵里加がいた。

恭子と一緒に 帰ってきた樹を 訳がわからない顔で迎えて。
 

「タッ君、どうしたの?」

何も知らない絵里加が、怪訝な顔で言う。
 
「お父さんに 相談があってね。いらっしゃるかな?」

腹をくくった樹は、落ち着いて言う。

顔見知りだから、ややこしい。
 

「いるわ。どうぞ。」

絵里加に導かれて、リビングに入る。
 


「あれ、樹君。珍しいね。どうしたの。」

お父さんは 疑いもせずに 樹を迎える。
 
ひとしきり 世間話しの後 会話が途切れたタイミングに 樹は言う。
 


「お父さん、突然で 驚かれると思いますが 恭子ちゃんと お付き合いすることを 許して頂けないでしょうか。」


その場にいた全員が 驚いて 言葉を失う。
 


「驚いたね。ドッキリじゃないよね。」

最初に口を開いたのは、恭子の父で。
 
「本当にすみません。恭子ちゃん まだ高校生なのに。でも僕 真剣です。恭子ちゃんが大学を卒業したら 結婚したいと思っています。」

樹は、一気に言う。精一杯、心を込めて。
 

「私は 薄々 気付いていたわよ。」

お母さんは、穏やかな笑顔で言う。
 
「えー、本当に?絵里加 全然 気付かなかった。ケンケンは?」

絵里加は健吾を見る。
 
「俺も。びっくりした。」

君たちの感想は 後でゆっくり聞くよ。


今はお父さんの気持ちが知りたいんだ。

樹は、黙ってお父さんの返事を待つ。
 


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