シンフォニー ~樹
22

恭子も 三学期が始まって 二人に日常が戻る。

卒業を控えた恭子は 最後の試験が始まり 樹の会社も 決算の準備に入る。
 


三月上旬 恭子は卒業式を終え 自動車教習場へ通い始める。

昼間 時間があると 樹の家を訪れて お祖母様や母と話したり 料理を手伝ったりする恭子。


夜は、帰りの遅い樹を、電話で励ましてくれる。
 
「せっかくお休みなのに 会えなくてごめんね。」

恭子の心使いが 嬉しくて 樹は言う。
 
「樹さんは 仕事しているんだもの。全然平気だよ。それより 毎日遅くまで仕事で 疲れない?」

優しく樹を気使う恭子。
 
「疲れたよ。恭子に会わないと 倒れちゃうかも。」

樹が甘く言うと、
 
「明日、チョコレートを届けておくね。甘い物は 疲れが取れるから。」

と可愛く答える。
 
「チョコより、恭子が ほっぺにチューしてくれた方が、疲れ取れるよ。」

可愛い恭子を 困らせてみたくて、樹が言うと、
 
「じゃあ、お祖母ちゃんのほっぺに チューしておくから。お祖母ちゃん経由で、チューしてもらってね。」

と恭子は笑う。
 

「それはヤバいね。いいよ、土曜日まで我慢するから。」

樹も明るく笑って言う。
 


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