シンフォニー ~樹

年明けは 二人、それぞれの家に御挨拶に行き 賑やかな時間を過ごす。

初詣に行った 明治神宮は 大変な人出で 参拝するまでの混雑に 二人で笑う。

恭子の肩を抱き寄せて 人混みから守る樹と 素直に寄り添う恭子。

並ぶことも 待つことも楽しくて。
 


樹の年始休みの間に 今度は健吾に誘われて もう一度 スノボに行く4人。

覚え始めの恭子の 無謀な滑りは 樹を驚かせる。


帰りの車の中 樹の肩にもたれて眠る恭子。

あどけない寝顔は、樹の心を寛がせる。
 

「恭子、マジで寝ていますね。」

ルームミラーを覗く健吾が 静かに言う。

絵里加も 助手席で 静かに目を閉じている。
 

「可愛いね。ケンケン 眠くない?運転代わろうか?」樹がそっと言う。
 
「大丈夫です。恭子を寝かせてあげて下さい。」

健吾は、お兄さんの顔になる。
 
「サンキュー。」

樹は、恭子の肩に そっとコートをかけてあげた。
 

可愛くて 無防備で 愛おしい恭子。

樹を信じて 安心した寝顔。

抱きしめて壊すよりも ずっと手の中で 大切に守りたい天使。


これから、この子を どうやって大人にしていくのか 樹は 楽しみと不安で 胸が震えた。
 


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