シンフォニー ~樹

樹は 仕事に対しても 以前よりも 貪欲になっている自分に気付く。

営業で 得意先を回りながら 次につなげる要素を 必ず持って帰る。

長い付き合いの取引先は 樹のやる気を 評価してくれる。
 

「樹 最近 調子良いね。この調子なら 俺 いつでも引退できそうだよ。」

智くんに褒められて 樹は晴れやかな笑顔になる。
 
「そんな。恐れ多いです。」

明るく言う樹に 智くんは 声を出して笑う。
 

「俺さ、麻有ちゃんと出会った途端に 営業成績が 驚くほど上がったのね。樹を見ていると、思い出すよ。」
 
「恭子のおかげって言いたいのかな。それは。」

樹も笑いながら答える。
 

「男って弱いね。」


智くんは、気持ち良い声で笑った。
 
 



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