松菱くんのご執心
「馬鹿か」


「はい?」


「そんな状態の青少年を放っておこう、だなんて方が俺には無理だ。それこそ、職務怠慢ってやつだろ。

つうことだから、お前の悩み相談に乗ってやってるんだ。

安心しろ、これも仕事の一環なんだって」




 数秒前にサボりって言ってましたよね、と聞き返したかったけれど、


どこからか愉快な音楽が流れてきて口をつぐんだ。



「あ? 誰だこの番号」


 三木さんのスマホだったらしい。

画面を見ては首をかしげ、おかしな顔をしている。



「なあ、爽」


三木さんは俺に向かってスマホを掲げた。


「これ、でたほうが出た方がいい?」



そんなの自分で決めてください、とは言わなかった。



「まあ、仕事の電話かもしれないですしね」


 俺はお人好しなのかもしれない。



だから松菱に、みかさを取られたのだ。全てはこの考えに収まってしまう。



 結局、電話に出ることにした三木さんは、



「もーしもーし」

と間の抜けた声で電話にでた。



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