僕が愛しているのは義弟



 * * *


 待ち合わせ場所に着き。
 梓と昼ごはんを食べる店へ向かっている。



「ここだよ、私が来てみたかった店」


 店の前に着いた。


 その店は。
 俺と葵が映画を観に行った。
 そのときに昼ごはんを食べた店だった。


「この店、今日はカップルで来店すると割引してくれるって」


「俺たちはカップルじゃないだろ」


「細かいことは気にしない気にしない。
 お店の人たちにはそんなことまでわからないわよ」


「そういう問題?」


「いいから行こう」


 結局、梓に押し切られて店に入ることになった。


 やはりカップルが多かった。


「ここの店、一度来てみたかったんだ。
 でも、なかなか機会がなくて」


 今、太一に見られたら。
 あいつ、羨ましがるだろうな。


「何食べようかな。
 隼翔は? もう決まった?」


「まだ決まってない」


「美味しそうなものばかりで迷っちゃうな~」


「だな」


「じゃあ、私は―――」


 俺は他ごとを考えていた。







 俺と梓は幼なじみで同士みたいなもの。

 とはいえ。
 女の子と二人で会っている。





 それじゃあ、葵はどうなのだろう。

 女の子と二人で会うことはないのだろうか。


 買い物をしたり、映画を観たり、遊園地に行ったり。
 そういうことはないのだろうか。



 葵の口からは一度も聞いたことがない。

 だけど本当に一度も会ったことはないのだろうか。
 女の子と二人で。










 って。
 何でそんなことを考える必要があるんだ。

 俺には全く関係ないのに。


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