僕が愛しているのは義弟



 新学期。
 クラス替えの日。

 そうすると。
 太一はいつものようにこの言葉を口にする。


「新しいクラス、どんなメンバーだろうな。
 梓と一緒だったら嬉しいなぁ」


 やっぱり出た。


 今、太一が名前を出した梓も幼なじみ。

 梓も幼稚園の頃から一緒だ。





 梓はしっかり者。

 太一がふざけていると。
 いつも『太一‼』と言って太一を𠮟っている。


 ……と言っても。
 俺も、たまに𠮟られている。



 しかし、どういうわけか。
 太一は梓に叱られているとき嬉しそうにしているように見える。


 なぜかはわからない。

 そういうときの太一の考えていることは、よくわからない。

< 9 / 47 >

この作品をシェア

pagetop