未明の三日月

結婚式のフラワーガールを 絵里加ちゃんにお願いすると
 
「絵里ちゃんで、大丈夫かしら。」

と麻有子は 不安そうな顔をする。
 
「大丈夫よ。絵里ちゃん可愛いから 主役の座 奪われちゃうわ。」

と美咲も笑った。


麻有子の家に来ると、美咲は いつも心が晴れる。

美咲達とは 比較にならない、豊かな生活をする麻有子。

本物のセレブだから。


でも麻有子達は それ以上の愛で、結ばれている。

お互いを思いやって。
 


マンションに戻って、美咲は 佳宏に話す。
 
「私が 結婚の報告に行ったのに 麻有子達が 熱々で。私、当てられちゃったわ。」

美咲の言葉に 佳宏は笑い、
 
「美咲も負けないで、のろ気ればよかったのに。」

と言った。
 

「のろ気ても、その上をいくのよ、あの二人。あっ、そうだ。智くんが、佳宏の愛が 私の心を動かしたって 言っていたよ。」

美咲が言うと 佳宏は、満足気に頷いた。
 

「麻有子ちゃんのご主人、よくわかっているなあ。」

と嬉しそうに言って。
 


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