港町 グラフィティー
「よ!元気?」
しらじらしい…声…

あれから10日間もほったらかしに
されていたのに…声を聞いたとたんに
…ヘドロみたいに溜まってたモノが
いっきに流れ出して…心底
嬉しかった。

「うん…まぁね…元気
聡は?」
{少しは心配しろよな…}

「明日バイト 何時に終わる?」

「明日かぁ・・・」
{勿体つけたって 聡にはお見通し…
今すぐだって 逢いたいよ。}

「遅番 だから 7時には上がれる」
{休んだっていいよ…}

「そんじゃぁ…7時半にいつもんとこな」

「うん…わかった」
{それだけかよーーー}

「あ…そうそう…もうすぐ 
俺らって付き合って
一年…って知ってた?」
{知ってるに決まってるじゃん。そんな事
それに告ったのは 正月の3日だし…
忘れる方がどうかしてるじゃん}

「へ?そうなの?忘れてた。」
{どこまでも 素直じゃない私}

「そんじゃ…な。おやすみ」
{え~~~もう切るのか!}

「うん…じゃ明日ね。おやすみ」
{まだ 間に合うよ…逢いたいって言えよ!ホラホラ~早く}

ガチャン…

たった…数分の電話。
そっけなく切れた。
 
『俺ら』って言ったよね。
俺らかぁ…ドンドン嬉しくなっていく。
馬鹿みたいだと わかってるけど。
頬が緩む。
明日は何を着ていこうか…
ほんの30分前では 考えられなかった
展開が 私を幸せな気分にさせてくれる。

もう…寝よっと…
おやすみ…聡。



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