港町 グラフィティー
二章…出会い
初めて出逢ったのは…
私16歳 聡18歳
14・5歳からやんちゃばかり…
私は清水港じゃちーとは名の知られたヤンキー。
特攻服の背中一面に般若や韋駄天…阿修羅の刺繍をほどこし
わけもなく町中を闊歩してた。

冬の大祭『秋葉大社の火渡り』は一年の祭りを締めくくる大事な場所だった。
私は久美子と2人で意気揚々と会場の隅に陣取りながら仲間のくるのを待っていた。
ケイさんと,ケイさんより数十センチもでかい175はありかと思う順子さんを先頭に この年流行った ロングのチェスターコートを着た一団が秋葉神社階段に腰を下ろした。

「順子さんこんばんは…メチャクチャ寒いですよね…」

「ところで あそこにいるケイさんの横の人ってあんまり見ない顔ですよね。?」

「え?どいつのこと?あああ~~グレーのチェスター着てるカッコイイ子でしょう。聡っていうんだよ」

「彼女いないんすか?」男の事となると久美子は積極的だ。

私は石段に腰掛けたまま聡をじっと見つめていた。

小走りにケイ一行に戻った順子さんが 私達に手招きをする。
祭りの太鼓の音よりデカイ声で順子さんが
『聡は久美子がいいってさ…』
期待していたわけじゃないけれど…酷く惨めだった。 

聡を近くでみれば見るほど 少しグレーがかった大きい瞳。女の子みたいなぽってりとした唇…そのくせ鍛え抜かれた鋼のような肉体が服の上からも想像できるほど。
私や久美子なんか目もくれず火渡りの火を眺めている。
そこがまたクールでかっこ良くて見ちゃいけないって思えば思うほど目が離せなくなっちゃてたんだ。

私の視線に気づいた彼は持ってたタバコの箱にペンで何か書いている。
ケイさんや順子さん達は、場所を変えるようだ…
すれ違いざまに聡が、箱を私に投げてよこした。
振り向きざまにウインクしながら人差し指を唇に当てた

【内緒ってことかぁ?だれにだよ?】と悪態をつきながら箱を開けてみた。
0543-7○-67○○正月はいない 3日に駅前のTOPで12時・・・と書かれていた
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