愛溺〜番外編集〜



「とりあえず私の家に来て、夜になったら家に帰ってもいいし。でもやっぱり、知らない私の家に上がるのは怖いかな」


勢いで誘ってしまったけれど、よくよく考えてみれば怖いという気持ちが勝るかもしれない。

ここは相手の判断を尊重しようと思ったけれど、彼女は首を横に振った。


「こ、怖くない…です」
「本当?良かった」

「でも、初対面の人にここまで迷惑かけるのは…」
「じゃあ今から友達になろう」

「へ…」

「友達になったら関係ないでしょ?
確か名前は…未央ちゃん、だよね?」


名前を尋ねると、彼女は何度も頷いた。
本当に小柄でかわいい子だ。


「未央ちゃんは高校何年?」
「あ、さ、3年です…」

「3年?じゃあ同い年だ!
私のことも愛佳って気軽に呼んでくれていいから」


なるべく緊張を解すように笑顔で話す。
するとようやく未央ちゃんが笑顔を見せた。


「じゃあ…愛佳ちゃん」


あまりのかわいさに胸が締め付けられる。
このようなかわいい生き物が、この世に存在していたとは。

悶えるほどかわいいというのは、まさにこのこと。


かわいい小動物の映像を見て悶えるのと同じで、天使のようにかわいい…なんて、何気持ち悪いこと考えているんだ私。


未央ちゃんに聞かれたら絶対に引かれてしまう。


「ほ、本当にいいの…?」
「もちろん。気にしないで」


ここで同い年の未央ちゃんと出会ったのも何かの縁だと思い、私は彼女と一緒に自分の家へと向かった。

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