愛溺〜番外編集〜





「あの、涼介……?」
「んー?」

 パーティーが終わった後、涼介は私の家に来たのだけれど……帰宅してからずっと私を後ろから抱きしめたまま、ピクリともしない涼介。

 さすがの私も変だと思い、尋ねてみることにした。


「どうしたの?さっきからずっとこの状態だけど」

「愛佳の可愛さがより一層周りに広まったことに対して落ち込んでるんだよ」

「はい?」


 心配して損した気分だ。
 予想外の返答に思わず呆れてしまう。


「わかってる?男の視線が愛佳に集まっていたの」

「それはスカートの丈が短すぎたからでしょ。まさか沙彩があんな短いのを用意してたなんて……!」


 用意してもらった側のため、そこまで強くは言えないけれど。

 それでも常識の範囲内には収めてほしかった。


「野々原さんはきっと俺を嫉妬させたかったんだろうね」

「えっ、沙彩が?どうして?」

「それはもちろん俺の反応を見て楽しみたいからだよ。悪い性格しているよ、本当に……それに愛佳も大人しく俺に連れて帰られておけば良かったのに」

「パーティーには参加したかったから……」


 格好についても中盤からは慣れて、パーティーを楽しむことができたし参加して良かったとは思っている。


「だから余計に落ち込んでいるんだよ俺は。俺を選んでくれなくて」

「別にそんなつもりは……っ」


 涼介が私の耳にキスを落とし、思わず黙ってしまう。
 これ以上は何も言わなくても涼介のペースにハマるのだ。


「ふっ、可愛い。抵抗しないの?」
「……無意味なことってわかってるから」


 私は絶対に涼介には敵わない。
 されるがままなのである。

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