こぼれるほどの愛を、君だけに。【完結】

大安吉日。



自宅から一歩踏み出した。



少し強めの湿った風が、頬をなでる。



見上げた空は、どこまでも青く、
夏の焦げるような暑さではなくて、
太陽は、まとわりつくような熱を
発している。


ついこの間まで、桜が咲いていたのに。
いまは梅雨の時期。

きっとすぐに夏がきて、
あっという間に冬がきて
気づいたら1年が終わってる、ていう
いつもと同じサイクルで

今年も

平和で平穏で
何もないまま
1年が終わるんだろうな...



いかんいかん。
感傷に浸っている場合じゃなかった。

憂鬱な気分を、ビジネス脳でだます。

今から私は会議に参加する。
初顔合わせのおエライ幹部たちとの
大事な会議、会議、会議、会議...

高校生の体育祭に乗り込むんじゃない。

今から私は、おエライさんとの会議。
会議。会議。会議。


思い込みは得意な私。


そう。その調子っ。


マインドコントロール、OK!
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