永世中立でいたいんだけど、そうさせないのが君たちだよね 〜龍になっております〜
右手の痣を見てみると
「…え」
その声につられてゆいもめいも右手に視線が向けられる。
「…りん、何それ。」
驚くのも無理はない。右手の痣に切れ目が入って白い物体が出ていた。
「は?ちょっとめい!どんだけ強くつねったの?」
「そ、そんなつもりじゃ…!これ、骨?!」
いや、骨じゃない。鱗だ。無数の純白の鱗。だがこれだけぱっくり自分の肉が裂けているというのに痛くも痒くもない。
「痛くないから大丈夫だよ。包帯かなんかある?」
はっと我に返ったゆいがすぐに部屋を荒らしつつ新品の包帯を持ってきてくれた。めいが涙を浮かべながら「私がやる」と手を震わせながら巻いてくれた。
変な空気だ。ゆいからめいに注がれる視線は鋭かった。
「早く起こしたいのは分かるけど、あんまりなんじゃない?」
そう言ったゆいに何も言い返さず私に
「ごめんね、ごめんね」
と繰り返す。
「いや、めいのせいじゃないよ。だってもともと痣ができてたから多分何かの拍子に切れちゃったんだよ」
とその場しのぎの理由を咄嗟に作り上げる。納得出来ない2人の表情から嫌な予感がした。
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