如月の空の下、光る君を見つけた。
「ことり、今さらなんだけど如月陽翔二股報道出てるじゃん。しかも相手は一般人らしいし、ことりにもチャンスあったんじゃない?」


「そう...だね」


「ことり元気なくない?大丈夫?やっぱりまだ引きずってるとか?」


「うん。まあね。とりあえず今日は気分悪いから帰るね」


「そう...。じゃあまた明日」



私は1人とぼとぼと廊下を歩いた。


一般人と熱愛のその"一般人"ってのが私ってことなの?


カラオケボックスに入って行ったところを見られていたとか?


変装はばっちりだったはずなのに。


それにしてもこれは非常にまずい。


詩央くんがここに通っているのがバレる。


いや、もう...もうバレてるのかも。


恐ろしくて全身が震え上がった。


詩央くんの有意義な学校生活を送る手助けをしたかったというのに、これでは台無しになってしまう。


もし私が原因ならなるべく接触しないで間接的に手伝えばいい。


そうだ、それだ。


と考えながら歩いているとスーツ姿のおじさんが近づいてきた。



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