上司は優しい幼なじみ
腕にぎゅってしがみついたのも!いや、それも色々と相手が半田さんであっても問題なのだけど…

たっくんに醜態を晒していたなんて…穴があったら入りたい。
ブラジルまで続く深ーい穴に入りたい思いだ。

「で、でもこの格好は一体…」

するとたっくんは深くため息をついた。

「さすがにその恰好のまま寝かせるのもって思ったけど、俺が触るのも違うなーって悩んでいたら、急に陽菜が’暑い!’って言いだして自分で脱いだんだよ」

まさか、好きな人の前で、仮にも告白したばかりの人の前でそんなことを…

顔が真っ赤になる。

「…とりあえず、今日は半休で午後からの出社でいいから。カギ置いとく。シャワー浴びてゆっくり準備して」

そう言って部屋から出ていこうとする。
慌ててベッドから降りようとすると、まだ酔いが残っているのかふらついた勢いで落ちてしまった。

閉まりかけたドアが再び開き、たっくんが眉を八の字にして、傍に置いてあったブランケットを私の肩にかけた。

「午後も無理そうだったら俺に連絡して。わかった?」

「…うん」

部屋から出ていくたっくんの背中を見送る。
お酒におぼれて仕事を休むなんて言語道断。
たっくん不機嫌そうだったし…完全に呆れられた。
プレゼンはリベンジの機会与えてもらったけれど、告白のリベンジなんて到底無理だ。
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