上司は優しい幼なじみ
「そ、そりゃ驚くよ…お、驚きますよ」

危ない。呼び方はもちろんだけれど、話し方も気を付けないと。
入社したての平社員が、係長にタメ口はあまりにも無礼だ。
無礼というものでもない、モラルの問題だ。

「俺が越したのが中2くらいだったから、15年ぶりかな?元気そうでよかったよ」

「かなりお久しぶりですね」

改めて彼をじっくりと見てみる。
昔から爽やかな顔立ちをしていたけど、そこに男らしさというか、色気が加わり、改めて私たちが離れていた年月を感じさせる。

「…今晩さ、空いてる?」

「え?」

淹れたてのコーヒーを差し出す。
それを受け取り、再び彼に目をやった。

「よかったら晩飯でも食べない?一緒にさ」

「っうん!…あ、はいっ!」

たっくんとのご飯、なぜだか緊張する…いや、いいんだよね。終業後は幼馴染に戻って。
< 17 / 275 >

この作品をシェア

pagetop