上司は優しい幼なじみ
入ってみれば、ヒラは残業ばかり。
対して役職を持っている人間は定時でさっさと帰る。

元々少ない同期も次々に退職していき、その仕事が私に募ってくる。



ろくに企業選びせずに内定貰ってすぐ就職活動を辞めてしまったあの頃を激しく後悔した。


結局1年も経たずに退職、大学時代のバイト先でお世話になり、いつまでもこんなんじゃダメだと自分の尻を叩いてようやく見つけた新しい職場。



-----株式会社フリースタイル


インテリア雑貨を取り扱う中小企業。

まともな職歴もなく、内定を貰うのには苦労した。
ここの商品が元々好きで、今一人暮らしをしている私の部屋にも多くの雑貨が置かれている。

その愛と熱意を持って面接に臨んだら、本社の商品企画部の仕事に奇跡的に受かった。

今日から憧れの株式会社フリースタイルの社員として働くのだ。

私、岡田 陽菜(オカダ ヒナ)はどこにでもいるような普通の25歳。

すらっとしたスタイルを持っているわけでもなく、目鼻立ちがハッキリした美人でもない。

それでも社会人としての身なりは自分なりに気をつけているつもりで。

ライトブラウンに染めた鎖骨あたりまで伸びた髪を毛先だけ軽く外巻きにし、メイクもナチュラルに仕上げている。

きちんとした会社で働くのは新卒ぶりだから、久々の"オフィスメイク""オフィスコーデ"に慣れない自分もいるが、初日の今日は少し気合を入れて、早めに起床し念入りに準備をした。
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