上司は優しい幼なじみ
「変わらなくて安心したよ」

昔から陽気で楽しい人だった。
年を重ねるごとに元気になっていく、そんな感じ。

リビングに入ると、新聞を広げていたお父さんが顔を上げた。

「おぉ、帰ったか」

「ただいまお父さん。ほらお父さん、たっくんだよ!」

たっくんの手を引き、お父さんの前に連れてくる。

「ご無沙汰しています」

「おぉ!すっかりいい男になったな!どれどれ、もう身長も越されているんだろうなぁ」

嬉しそうに立ち上がり、たっくんの隣で背を並べる。
お父さんは170そこそこだから、その差は明らかに見て取れた。

「昔はこーんなだったのになぁ!」

手を自分の腰辺りまで上げ、当時の身長を再現する。

「さすがに俺ももうすぐ30になるんで。それなりには育ちました」

笑いを含めながら返すたっくん。
こうして家族がまた、彼と一緒に時間を過ごすことになるなんて。
あの時、たっくんが引っ越していった時は絶対に想像もできなかったはず。
< 234 / 275 >

この作品をシェア

pagetop