ぜんぜん足りない。



「先生だって暇じゃないんだよ、なあ?」


トン、トン、トン。不機嫌そうに人差し指で机を叩きながら、先生がわたしたちを交互に睨む。

お説教タイムが始まった。



「この課題だけはちゃんと出せって言ったよな。今度の研究授業のデータとして使うんだ。お前たちふたりが出さなかったせいで俺の仕事が長引くんだよ、わかるか?」



ごめんなさい、はい、すみません。

ひたすら謝り倒すしかない。

こんな時は、言い訳したらさらに悪化するに違いないから。


怒る暇あるならさっさと仕事始めればいいのにって、思うけどもちろん言えない。



「国立は具合悪くて早退しとったから、まだわからんでもないけどなあ。郡はどうなんだ? どうせあいつらと遊びほうけとったんだろ」



先生の椅子がギイと回って、こおり君のほうを向いた。

あいつらとは、たぶんこおり君がいつも一緒にいるメンバーのこと。……今朝、わたしに絡んできた男子たち。


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