年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 ――ポーン、ポーン。
 振り子時計が時報を告げる。
 気付けば、事件のあった昼からあっという間に夕刻になっていた。
「セラヴィン様、使用人用の厨房から報せがありました。二名分の夕食が別室に整い、既にリリア様にもお伝えさせていただきました」
「そうか、すぐに向かおう。ご苦労だった」
 俺は現場の指揮を近衛隊長に任せ、リリアが待つ夕食の席に向かった。

「お疲れ様です」
 夕食場所に指定していた応接室に行くと、リリアは既に席に着き俺を待っていた。
「すまん、待たせしまったか」
「いえ、ちょうど今きたところです」
 俺が席に着くとすぐに料理が運ばれてきた。目の前に置かれた料理は、想像よりも随分と凝って見えた。
「なんだ、使用人らと同じで構わんと言っておいたはずだが?」
 厨房を現場検証で封鎖したため、今日の俺達の夕食は急遽使用人用の厨房で調理される事になった。俺は人手の足りない状況で手間を掛けさせぬよう、あらかじめ使用人らと同じメニューでいいと伝えていた。
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