【過激派刑事ドラマ】四国州

【経営破綻までのカウントダウン】

S吉が暗殺された事件を境にして、南海道電力だけではなく日本の電力業界全般に対する国民の不信感が日増しに高まっていた。

この時から、南海道電力に対して電力使用の契約を打ち切りたいので契約解除をするために窓口へやってくる人たちが目立つようになった。

企業の信用は、一連の不祥事で一気に低下した。

それなのに、経営陣どもは運転を止めている伊方原発を早いうちに再稼働することしか頭になかった。

このままでは、電力が不足する…とひどくあせっていたと思う。

四国の電力の3分の1は、原子力発電でまかなっている。

しかし、原発の再稼働には四国州や原発立地の西四国市と佐田岬区(伊方町の部分)の合意なしにはできない…

さらにその上に、佐田岬区内の反対派の住民グループが激しく抵抗しているから、物事が全く進まない…

経営陣どもは、ものすごく焦っていた。

経営陣どもは、日名川会を利用して原発再稼働反対派の住民グループをだまらせてくれと頼んだ。

それから3日後のことであった。

西四国市佐田岬区内で原発再稼働反対派のグループの住民が日名川会から脅されて金品を強奪されたり、襲撃を受けて負傷した事件が発生した。

事件発生から4日後に、八幡浜港の近くで九州方面へ逃げようとしていた日名川会に所属するやくざの男を州警が逮捕した。

男は、日名川会のやくざと知り合いであった。

ケーサツの取り調べに対して、男は『新居東区の支店長のN木から反対派の住民グループを襲撃を頼まれた…500万円を受け取った…』と供述した。

警察庁(国)は、日名川会を一般の住民に危害を加える恐れが高くなった危険暴力団に指定した。

それと同時に、南海道電力の社内にやくざ組織と交友関係がある従業員さんがいる可能性が高まったので、徹底してしめあげると州警が決意した。

9月の第1木曜日のことであった。

南海道電力の支店長が日名川会のやくざと交友関係があったと言う情報が社内に伝わったので、州内と淡路島の全支店が一斉にストライキを決行した。

支店の従業員さんたちは口々に『新居東支店の支店長のN木が日名川会の事務所へ出入りを繰り返している!!社内の従業員にもやくざ組織と交友関係がある人物がいる!!そんな企業で働くことなんかできない!!やくざ組織と交友関係がある人物を一人残らずに排除せよ!!われわれは徹底して闘うぞ!!』とシプレキコールをあげていた。

従業員さんたちは、やくざ組織と交友関係がある人物をすべてハイジョするまで仕事をしないと言うて、無期限ストを決行した。

会社側は、ストを起こしている支店の従業員さんたちにストライキをやめて通常の営業に戻れと要求した。

しかし、従業員さんたちは怒り心頭になっていたので、要求を突き返した。

この日のテレビ番組は、南海道電力の従業員さんたちによるストライキ関連の報道特番のため、全局通常番組は休止になった。

ところ変わって、中央区三島の磯原さんの息子夫婦が経営している床屋にて…

この日、オレは散髪をするために息子夫婦が経営している床屋にいた。

磯原さんは、店内のソファであぐらをかいて新聞を読んでいた。

オレは、息子の嫁さんから髪をカットしていただいた後、ひげそりをするので蒸しタオルでひげをおおっていた。

(ジリリリリリン!!ジリリリリリン!!)

この時、うぐいす色のプッシュホンのベルが鳴ったので、息子の嫁さんが電話に出た。

電話は、倉敷で暮らしているおいごさんからであった。

「はいもしもし…あら…(倉敷で暮らしているおいご)じゃない…久しぶりね…えっ…合格…神戸の電子専門学校の入学が許可されたって…わあー、おめでとう…大好きなアニメーションの専門学校に行けるのね…小さいときからアニメのお仕事がしたいと言うたので、まずは第一歩を踏み出すことができたわね。」

息子の嫁さんは、おいごさんが神戸の電子専門学校の入学が許可された知らせに大喜びになっていた。

だから、店のお仕事が止まった。

磯原さんは、息子の嫁さんに『お客さんが待っているぞ…』とたしなめていたが、息子の嫁さんは『今電話中なの…』と言うて磯原さんをさえぎった。

ブチキレを起こした磯原さんは、電話を切った。

息子さんの嫁さんは『何をするのよ!!』と言うて磯原さんに怒った。

「義父さま!!何をするのですか!!」
「うるせーんだよ!!長電話魔!!」
「義父さま!!義父さまは(倉敷で暮らしているおいご)が神戸の電子専門学校の入学が許可されたことはうれしくないのですか!?」
「(おいご)が電子専門学校の入学が許可されたことなんかうれしくないわバーカ!!あなな仕事なんかくだらん!!あいつの高校卒業後の進路は新居東の理髪師の専門学校に行くことが決めた!!昨日のうちに入学手続きを済ませておいたから…あいつに言うておけ!!お前はうちの床屋で見習いをしろと言うておけ!!おい!!(息子)はどこへ行ったのだ!!店の仕事をせずにパチンコに狂っているみたいだな!!」

息子の嫁さんは、ヒステリーを起こして奥の部屋に入って行った。

磯原さんはオレに『達雄、ごめんな…オレが代わりにするよ…』と言うて立ち上がったあと、白衣を羽織って散髪仕事を始めた。

その一方で南海道電力の各支店で発生したストライキはおさまるどころかエスカレートして行くばかりであった。

支店の店舗の営業ができなくなったので、区民の生活に影響が出た。

困り果てた会社側は、新居東支店の支店長のN木を支店に呼び出して、事の次第を聞くことにした。

新居東区徳常町にある支店の前には、待ちかまえていた週刊誌の記者たちやタブロイド夕刊の記者たちがいて、N木が戻って来る時を待ち構えていた。

N木が戻ってきた時、記者たちが取材攻勢をかけてきたのでものすごく困っていた。

「N木さん、日名川会のやくざと交遊があることは事実ですか!?」
「N木さん、答えてください!!」
「週刊夜明でございますが、われわれに本当のことを話していただけませんか!!」
「このままでいいのですか!?」
「日名川会の事務所に出入りしていたことは本当ですよね!!」

N木は記者たちに『帰ってくれ!!』と怒鳴りつけてイカクをした後、支店の中に入ろうとしていた。

その時であった。

「オドレN木!!」

この時であった。

派手なシャツを着て、パンチパーマのやくざの男が刃渡りの鋭いサバイバルナイフでN木をひとおもいに刺した。

N木は、やくざの男からシツヨウに刺されて殺された。

N木を刺した男は、サバイバルナイフを捨ててその場から逃走した。

現場に居合わせた記者たちは、N木が刺された現場をカメラで撮影した。

現場の写真は、その後各編集部にメールで送った。

それから50分後のことであった。

事件現場に、州警の刑事たちが次々と到着した。

到着後、鑑識警察官による現場検証が始まった。

この時、現場にダンさんとオノさんとナベとアキがいて、新居東警察署の刑事たちと一緒に現場検証をしていた。

N木は、やくざの男から刃渡りの鋭いサバイバルナイフで複数箇所刺されて殺された。

落ちていたサバイバルナイフの横に、今治東区にあるやくざ組織の紋章が落ちていたので、紋章を調べてた。

N木を刺した男は、今治東区にある関西に本部をかまえる広域暴力団の系統の組に属するチンピラであった。

組は、日名川会と対立していたやくざ組織であることが判明した。

事態は、さらに深刻になった。

オレが新居東区の事件現場に到着したのは、事件発生から70分後のことであった。

「達雄さん。」
「達雄さん、こちらです。」
「ダンさん、オノさん…N木が刺されたのはホンマか!?」
「ええ…刃渡りの鋭いサバイバルナイフで一撃を喰らったようです。」
「凶器のサバイバルナイフはどうした!?」
「今、鑑識に回しました。」
「そうか…それで、事件はどういういきさつで発生した!?」
「N木さん、今日の夕方頃に、本店から来た副社長から事情聴取を受ける予定でした。」
「ああ、そうか…それよりも、N木が日名川会または日名川会と対立しているやくざ組織と何らか理由でトラブったという話は聞いてへんか!?」
「今のところは…まだ何も分かりません。」

言いにくそうな声でオレに言うたオノさんは、全力を挙げて調べあげますと言うた。

そんな時であった。

ナベがものすごくあわただしい声で、ダンさんに言うて来た。

「ダンさん大変です!!」
「ナベ!!どないしたんや!?」
「ダンさん!!N木の体から薬物反応が出ました!!」
「薬物反応が出た!?」
「おいナベ!!」
「達雄さん!!」
「N木に薬物の疑いがあるのか!?」
「ええ、」
「根拠は!?」
「あります…N木は、日名川会の事務所から危険ドラッグのハーブを大量に買っていました。」
「危険ドラッグを大量に買っていた!?」
「達雄さん!!」
「オノさん、急いでN木が服用していたハーブの成分の分析してくれ…ダンさん、ダンさんはN木がどういういきさつでやくざ組織にイソンするようになったのかを調べてほしいけれど、いいかな!?」
「分かりました!!」

サイアクだ…

よりによって、南海道電力の従業員さんたちの間で…

危険ドラッグのギワクが出たので…

危ないかもしれない…

この時、オレはものすごく強い危機感に襲われていた。
< 10 / 17 >

この作品をシェア

pagetop