溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「ただ女の子にそっけないだけだと、冷たいなあって思うけど、その背景を知ったら、なんだか可愛くて……あっ」


言えば言うほど墓穴を掘ってることに気づいたのか、慌てて口を押さえる相沢。


それ、軽くディスってるだろ。それとも天然なのか?


どんどん傷がえぐられるっつーの。


「ご、ごめんなさいっ、永瀬くん……」


「べつにいーけど」


そう思ったのは本当。


相沢にそう言われてもあまり悪意が感じられず、頭には来なかった。


「それと、その呼び方もどーにかしたら?」


「呼び方?」


キョトン、と首をかしげる相沢。


その仕草をまともに直視できなくて、目を逸らす俺。


「家の中でくらい、……朔……って呼べよ」


語尾が小さくなる。


女子には名前でなんか呼ばせたことないくせに、どうしてかそんなことを口走っていた。
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